茶業研究報告
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チャの輪紋葉枯病病原菌の生態,特に菌糸塊(仮称)の形成と越冬
野中 寿之植原 一雄
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1978 年 1978 巻 47 号 p. 24-32

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抄録
1.本病の発生上重要な菌糸塊の形成条件と病原菌の越冬,一次伝染の方法などについて調査,検討を行った。
2.病斑上の菌糸塊形成は4~5月頃に最も多く,新葉病斑での形成はきわめて少なく,これは夏季の発生減少の一要因と推察された。
3.病斑における菌糸塊形成には,適度の水分と自然光またはBLBライトの照射が必要であったが,密閉した容器中での形成はみられなかった。
4.培養菌における菌糸塊形成は,光照射,特に近紫外光であるBLBライトの照射で良好であり,自然光の場合,7,000~20,000Lux,照射時間は長いほど形成量は増加した。
5.培養条件と菌糸塊形成との関係について検討した結果,菌叢生育の良好なPDA培地で形成量は多かった。培地の庶糖濃度が2.0~3.0%で,菌叢が若い生育旺盛なもの,さらに培養温度が15~27.5℃で菌糸塊の形成が最も多かった。
6.菌糸塊の発芽は20~25℃が適温で,空気湿度は87%以上で認められたが,その発芽能力,病原力は短期間であっても,その保存条件によって変化した。
7.病原菌の各種環境条件における耐性をしらべた結果,低温,乾燥および日光に対しては安定で,高温に対する死滅点は菌糸塊が65~70℃,菌叢が50~55℃で,菌糸塊は高温に対しても比較的安定であった。
8.菌糸塊の生存期間をしらべた結果,乾燥条件で,10℃以下の低温では500日後においても発芽がみられたが,多湿,高温条件では短期間に発芽力を失った。
9.前年落葉した病葉での病原菌の生存は確認されなかった。病原菌の越冬は樹上に残った越冬病葉中で行われ,春季この大型病斑に形成された少量の菌糸塊で一次伝染がおこり,発病した新発病葉に形成される多量の菌糸塊で発生が拡大していくものと推察された。
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