茶業研究報告
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収量構成要素による一番茶多収条件の解析
山下 正隆
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1984 年 1984 巻 59 号 p. 19-27

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抄録

収量は基本的に摘採面積,単位面積当り芽数および一芽重の3要素によって構成される。しかし,成園化して摘採面積がほぼ一定化すると,芽数および芽重が収量を構成する主な要素となる。本報告では,これまでの3~5年にわたる収量試験結果および各地域での過去11年間の作況報告をもとに成木園での本茶収量と両要素との相関を明らかにし,収量構成要素からみた一番茶の多収条件を検討した。
芽数および芽重に対応する収量の分布はいずれも大きなばらつきを示した。しかし,両要素ともその分布の中央部付近から両側へ離れるにつれて収量のばらつきは減少し,また収量は低下する傾向を示した。これらの傾向はある最大収量を持つ二次曲線で表わすことができた。この曲線関係から,収量が最大となる芽数は1800~2100本/m2,百芽重は43~58gの値が得られ,収量面からみた両要素の最適条件は芽数が2000本/m2前後,百芽重が50g前後と推定された。
また,これらやぶきたを用いて得られた最適条件は17品種を用いて得られた両要素の最適値とほぼ一致した。
芽数に対する芽重の割合すなわち芽重一芽数比(首芽重/1m2当り芽数×100)によつて収量構成型を芽数型<2.0, 2.0≦中間型≦3.0,芽重型>3.0として区別した結果,これらは従来の経験的な判断とよく一致した。

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