茶業研究報告
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茶園土壌における亜硝酸態窒素の動態に及ぼすpHの影響
早津 雅仁
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1990 年 1990 巻 72 号 p. 27-32

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抄録

茶園土壌における亜硝酸態窒素の動態に及ぼすpHの影響を土壌懸濁液を用いて検討した。試料土壌として四要素試験圃場の標準区,窒素多肥区,カルシウム多肥区の土壌を用い,それぞれについて未風乾土,滅菌土,未風乾土に塩素酸ナトリウムを加えたものの3条件で培養した。また土壌懸濁液のpHは3.5, 5.5, 7.5の3通りで行った。
(1)供試土壌のpHは標準区が3.9,カルシウム多肥区が5.2,窒素多肥区が2.9と大きく異なっていたが,そのほかの性質に差は認められなかった。
(2)使用した土壌についてビン培養法により硝酸化成能を調べたところ,カルシウム多肥区が最も高く,次いで標準区,窒素多肥区の順であった。
(3)pH3.5の土壌懸濁液ではすべての条件とも培養2~5日目で亜硝酸は消失した。pH5.5では標準区と窒素多肥区では亜硝酸酸化菌の活性は確認できなかったが,カルシウム多肥区では亜硝酸酸化菌により培養5日目で亜硝酸態窒素は消失した。pH7.5では窒素多肥区の亜硝酸態窒素の減少はわずかで,標準区とカルシウム多肥区で亜硝酸酸化菌による減少が認められた。

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