抄録
茶株の摘採面上からと樹冠内部に散布した農薬の、捕食者ケナガカブリダニとその餌であるカンザワハダニの個体数に及ぼす影響を検討した。1997年の4月から11月にかけて両種の密度を調べ、その間に6回の薬剤散布を行った。摘採面上から散布した区では、両種の密度とも無散布区と差がなかった。摘採面上からととともに樹冠内部にも散布した区では、カンザワハダニの密度は無散布区に比べ有意に高くなった。しかし、この区でもケナガカブリダニはカンザワハダニの密度を抑制した。摘採面上から散布した農薬はケナガカブリダニに大きな影響を及ぼさなかったが、樹冠内部に散布した農薬の影響は大きかった。樹冠は摘採面上から散布された農薬の内部への到達量を減少させており、樹冠内部は天敵の保護場所として重要である。