CHEMOTHERAPY
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抗癌剤投与による肝細胞障害に対するCoenzyme Q10併用に関する実験的研究
山田 真一北出 文男岡田 勝彦革島 康雄加藤 佳典岡島 邦雄藤本 守
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1979 年 27 巻 4 号 p. 675-680

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抄録

二連型K+微小電極は, 同時に細胞膜電位と細胞内K+濃度を測定することが可能であり, これらの値は, 細胞生理学的見地から, 細胞内エネルギー代謝の1評価となる. 抗癌剤投与時にRat肝細胞膜電位と細胞内K+濃度は, その投与量, 投与濃度に比例して低下し, 投与中止により1~2週間で, 正常レベルに回復する. 本論文では, 抗癌剤投与により生じる細胞内エネルギー代謝障害に対し, 抗癌剤投与時に, 代謝賦活剤であるCoenzyme Q10を併用投与し, 細胞内エネルギー代謝に及ぼす影響につき検討した. 抗癌剤としてはMitomycin Cを用い, 溶媒だけのPlaceboを併用投与した群を対照として比較検討すると, Coenzyme Q10を併用した群の, ラット肝細胞膜電位と肝細胞内K+濃度値は有意に低下が抑制されており, Coenzyme Q10を併用投与することにより, 抗癌剤投与により生じる肝細胞内エネルギー代謝の低下が抑制されると考えられた. さらに, Sarcoma 180 solid type tumorを用い, 抗癌剤にCoenzyme Q10を併用投与することによる抗癌剤の制癌効果への影響を検討し, 制癌効果を抑制することはなく, Coenzyme Q10の併用は有意義と考えられた.

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© 社団法人日本化学療法学会
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