CHEMOTHERAPY
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二重盲検法によるCefuroximeとCefazolinの尿路感染症に対する有効性ならびに安全性に関する研究
名出 頼男他
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1980 年 28 巻 4 号 p. 539-562

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抄録

新Cephalosporin剤Cefuroximeは, β-lactamaseに対する安定性によってE. coli, KlebsiellaなどのCephalosporin耐性株やProteus, Enterobacter, Citrobacterにも抗菌力を有することから, 尿路感染症ではそのすぐれた臨床効果が期待される。われわれは, 尿路感染症に対する本剤の有効性, 安全性および有用性を検討する目的で, Cefazolinを対照薬としてえらび, 両剤を二重盲検法によって比較検討した。
対象症例は, 急性単純性膀胱炎を除く15才以上の尿路感染症例とし, 両剤とも1回750mg (力価), 1日3回, 5日間静注使用した。検討症例数は総計227例であったが, そのうち委員会判定では160例, 主治医判定では166例が効果判定可能であった。
両剤使用群間の患者背景因子はほぼ同等で, 臨床効果は, Cefuroximeが委員会判定 (Cefuroxme79% Cefazolin 61%) ならびに主治医判定 (Cefuroxime 75%, Cefazolin 58%) とも有意に高い有効率を示した。
これを各種要因により層別すると, 委員会ならびに主治医判定とも複雑性尿路感染症, 慢性症, cefazolin非適応菌およびMlc 200μg/ml以上の細菌感染例で, cefuroxime群が有意に優れた臨床効果を示した。副作用ならびに臨床検査値異常の発現率については両群間に有意の差はみとめられなかった。また, 主治医判定による有用性もCefuroxime群で優れた傾向を示した。
以上の成績から, Cefuroximeは, 尿路感染症に対して有用な薬剤であると結論された。

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