CHEMOTHERAPY
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女子急性単純性膀胱炎における抗菌剤治療効果のdose responseに関する研究: Miloxacinにおける検討
熊本 悦明他
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1980 年 28 巻 4 号 p. 563-581

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抄録

女子急性単純性膀胱炎に対するMiloxacinの治療効果のdose response的検討を二重盲検法により行った。
(1) 総合臨床効果 (有効率) は1,000mg/day群89.2%, 500mg/day群81.8%, 250mg/day群74.4%, 125mg/day群42.1%であった。また, 起炎菌をグラム陰性桿菌に限定すると, 1,000mg/day群は他3群に比較して総合臨床効果が有意に高く, 臨床上の使用量として1,000mg/dayが妥当と推定された。
(2) Miloxacin 1日投与量の1回分を服用したときの尿中濃度 (尿量1mg/minに補正) は平均値のrangeが250mg: 12.6~23.8μg/ml, 125mg: 3.5~8.4μg/ml, 62.5mg: 3.1~5.7μg/ml, 31.25mg=0.8~2.3μg/mlであった。これらの尿中濃度と, それぞれの投与量群別の細菌尿に対する効果とでプロットした曲線を描き, それと本試験対象症例から分離した尿中細菌群のMIC累積率曲線とを比較すると, 両者がほぼ相同の曲線であることが判明した。また, MIC累積率曲線を2管分高濃度側に移動させると両曲線がほぼ重なる。言い換えれば, MICにある係数を乗じて対象菌群のMIC累積率曲線を描くと, 薬剤の尿中濃度の有効率で描く曲線とが一致することを示された。

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