CHEMOTHERAPY
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産婦人科領域におけるCeftizoximeに関する基礎的, 臨床的研究
本村 龍太郎河野 通久森 広康山辺 徹
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1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 888-899

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抄録

私どもは産婦人科領域におけるCeftizoximeに関する基礎的ならびに臨床的検討を行ない, 次のような結果を得た。
1. 抗菌力: 羊水中分離菌であるグラム陰性桿菌14株およびグラム陽性球菌8株に対するCeftizoximeの発育阻止串は, Streptococcus faeealisを除けば, 12.5μg/mlで100%であった。
2. 妊産婦における体液内濃度分布3妊婦 (21例) および褥婦 (2例) にCeftizoxime 1g静注投与後の体液内濃度分布は次のとおりであった。
1) 母体血清中濃度110分後の症例で107μg/mlと最高値がみられ, その後急速に減少したが, 9時間52分後の症例でも濃度の測定は可能であった。
2) 臍帯血清中濃度: 22分後の症例で29.9μg/mlと最高値がみられ, その後ゆるやかに減少した, 経胎盤 (胎児) 移行率は母体血清中濃度の約28%であった。
3) 羊水中濃度: 2時間7分後の症例で13.7μg/mlと最高値を示し, その後きわめてゆるやかに減少し, 26時間30分後の症例でも濃度の測定は可能であった。
4) 乳汁中濃度: わずか (0.31~0.43μg/ml) の移行がみられた。
3. 骨盤死腔浸出液中濃度: Ceftizoxime 2g静注投与後, 4~6時間後に24.0~33.1μg/mlと最高値がみられ, ゆるやかに減少した。骨盤死腔浸出液中への移行率は血清中濃度の約34~50%であった。
4. 性器組織内濃度: 付属器では2時間10分後の症例で, 卵巣35.0μg/gおよび投与20分後卵管32.9μg/gと最高値を示した。また, 子宮では20分後の症例で, 子宮頸管100μg/g, 子宮筋層66.5μg/gおよび子宮外膜54.5μg/g, 2時間10分後に子宮内膜で19.0μg/gとそれぞれ最高値を示した。
5. 臨床成績: 有効率は外性器感染症100% (著効1例, 有効1例), 内性器感染症100% (著効3例, 有効2例) および骨盤内感染症100% (有効3例) で, 全体としての有効率は100% (著効4例, 有効6例) であった。
6. 細菌学的効果: 検討し得た9例では菌消失55.6% (5例), 菌減少33.3% (3例) および菌交代11.1% (1例) であった。したがって, 細菌学的有効率は88.9% (8例) であった。
7. 本剤にもとづく副作用はとくに認められなかった。

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