CHEMOTHERAPY
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本邦で分離されたゲンタマイシン耐性の黄色ブドウ球菌について
第2編 ゲンタマイシン耐性の黄色ブドウ球菌から誘発したファージによる薬剤耐性の導入とブラスミドの解折
生方 公子紺野 昌俊
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1982 年 30 巻 1 号 p. 96-103

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抄録

1. 臨床検査材日より分離されたgcntamicin (GM) 耐性の黄色ブドウ球菌の中からTK5553株を選び, その菌より誘発したファージ液を川いて薬剤耐性の導入を試みた。その結果, penicilin G (PCG)-erythromycin (EM)-kanmamycin (KM) GM耐性の連関導入が認められた。また, 薬剤耐性の除去実験においても, それらの耐性は同時に脱落した。この耐性型を示す導入株よりプラスミドDNAを分離し, 電子顕微鏡で観察したところ, 分子量32.1×106daltonの環状DNAが見出された。PCG-EM-KM-GM耐性が支配されるこのゾラスミドは, pTU053と呼称することとした。
2. TK5568株より誘発したファージ液を用いた導入実験では, KMあるいはGM含有の選択培地上からはKNIとGMに同時に耐性を示す集落と, PCG-EM-KMに耐性を示す集落とが得られた。KM-GM耐性が芝配されるプラスミドは, 36.2×106daltonの環状DNA (pTU068) であった。
3. プラスミドpTU512 (PCG-EM-KM耐性) とpTU053とのHeteroduplex法によるDNAの相同性に関する実験的解析ては, pTU053のDNA鎖の92, 9%がpTU512と同一塩基配列をしていることが示された。しかしながら, ごくわずかてはあるが, pTU512のDNA鎖の方にpTU053とは非相同の部分かあることも見出された。

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