CHEMOTHERAPY
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本邦で分離されたゲンタマイシン耐性の黄色ブドウ球菌について
第1編 臨床検査材料からのゲンタマイシン耐性菌の分離頻度と薬剤感受性ならびにファージ型について
紺野 昌俊生方 公子高橋 洋子佐々木 有宇子川上 小夜子
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1982 年 30 巻 1 号 p. 86-95

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抄録

1979年1月から1980年1月までの1年間に, 帝京大学医学部附属病院の中央検査部細菌検査室に提出された検査材料から分離された黄色ブドウ球菌 (ブドウ球菌) を対象として, gentamlcin (GM) 耐性菌の出現状況を検索した。さらに, GM耐性菌の各種抗生物質に対する感受性ならびにファージ型に関しても検討を行なった。
1. 上記の期間中に検出されたブドウ球菌は, 総検体15, 978検体中1,287株であった。そのうち, GM耐性の株は57株 (4.4%) 検出されたが, 分離材料別ては膿汁 (148%) と耳漏 (9.106) て検出率が高く, その他の材料ではいずれも5%前後であった。
2. GM耐性菌は, 他のアミノグリコシド系 (AGs) 抗生物質のkanamycin (KM), sisomcin (SISO), dibekacin (DKB) およびtobramycin (TOB) にも耐性を示し, またamikacin (AMK) に対しても6.25~25μg/mlのMICを示した。
3. GM耐性菌の多くは, penicillin G (PCG), tetracycline (TC), chloramphenicol (CP) およびマクロライド系 (MLs) 抗生物質にも耐性であり, 多剤耐性化が著明であった。
4. GM耐性菌のファージ型別では, III群とその他の81を含む混合群が47.4%, III群と8081を含む混合群とがそれぞれ7.0%, 81単独が26.3%, 型別不能が12.3%という割合であり, I群あるいはII群に関係したファージ型の菌株は認められなかった。

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