CHEMOTHERAPY
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尿路感染症に対するBRL25000 (Clavulanic acid-Amoxicillin) の基礎的・臨床的検討
酒井 茂熊本 悦明西尾 彰丸田 浩長谷川 昌子
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1982 年 30 巻 Supplement2 号 p. 402-412

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抄録
新しいβ-lactamase阻害剤Clavulanic acidとAmoxicillin (AMPC) の配合剤であるBRL25000について基礎的・臨床的検討を行ない以下の結果を得た。
(I) 抗菌力 (MIC): MICはBRL25000およびAmoxicillin (AMPC) の両剤について検討した。E. coliでは, 両剤とも12.5μg/mlにピークを示すものの, AMPcでは2峰性に分布した。BRL25000に対しては, AMPCに対し200μg/ml以上を示した株も100μg/ml以下に分布し, BRL25000がAMPCよりも優れた抗菌力を示した。P. mirabilis, Indole (+) Proteus sp.もE. coliと同様の傾向を示した。K. pneumoniaeでは全株AMPCに耐性であったが, BRL25000に対しては, これらすべてが100μg/ml以下に分布した。Enterobacter sp., P. aeruginosaは全株が両剤に耐性であったが, S.marcescensは, AMPC耐性株はBRL25000に対し, MICの低下を示したが, 感受性株では両剤間に差は認められなかった。
(II) 臨床成績: 尿路感染症17例に対する有効率は, 急性単純性膀胱炎9例中, 著効8例, 有効1例で100%であり, 複雑性尿路感染症8例中著効4例, 有効3例, 無効1例で87.5%であった。尿路感染症全体の有効率は94.1%(16/17) であった。臨床分離菌のMICを同時に測定したところ, 有効例では, MICはすべて12.5μg/ml以下 (106cells/ml接種菌量) であり, MICと臨床効果に高い相関性が得られた。副作用は1例に胃部不快感および下痢がみられた。
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© 社団法人日本化学療法学会
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