抄録
1. 7名の健康成人志願者にCeftazidime (CAZ, SN 401) とCefotiam (CTM), CAZとCefoperazone (CPZ) の組み合わせでクロスオーパー法による3組の吸排試験を行なった。
1) CAZ, CTM各1g 1回静注試験は4名に行なった。各々のT1/2(β) は1.50, 0.94時間, 尿中回収率は8時間までで91.5, 72.9%であった。
精液中濃度は8時間後で各々1.46, 1.16μg/ml, 24時間後でCTMは検出できず, CAZで0.42μg/mlであった。
2) CAZ, CTM各1g30分間点滴静注試験は5名に行なった。各々の血清中濃度のピーク値は77.8, 61.3μg/ml, T1/2 (β) は1.60, 0.96時間, 12時間までの尿中回収率は76.3, 65.2%であった。
3) CAZ0.5g, 1g, CPZ1g30分間点滴静注試験は5名に行なった。各々の血清中濃度のピーク値は42.6, 92.1, 102.4μg/mlでT1/2 (β) は1.49, 1.66, 1.74時間, 尿中回収率は12時間までで91.8, 83.1,27.2%であった。
2), 3) については2時間毎に回収した尿を用い, 尿中抗菌力について検討した。2) での試験菌はCAZ, CTMに同等の感受性を示すE.coli, K.pneumoniae, 3) ではCAZ, CPZに同等の感受性を示すE.coli, P.aeruginosaを用いた。各尿検体の希釈倍率で各菌種の発育阻害を比較した結果, CTMは血中半減時間が短いこと, CPZは尿中回収率が低いこともあり, 2), 3) いずれの場合もCAZが優れた尿中抗菌力を示した。
2. 家兎にCAZ 1gを静注し, 脱水状態とそうでない場合での血清中, 臓器内濃度を測定した。全体的に脱水家兎で高い濃度を示したが, 特に睾丸と前立腺の濃度が高値を示した。