CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
泌尿器科領域におけるCeftazidimeの臨床的検討
岸本 幸一小野寺 昭一鈴木 博雄清田 浩町田 豊平
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 485-490

詳細
抄録
新しく開発された注射用セフェム系抗生剤Ceftazidime (CAZ, SN401) を複雑性尿路感染症計13例に使用し, その臨床的有効性を中心に検討した。
疾患の内訳は漫性複雑性膀胱炎11例, 慢性複雑性腎孟腎炎が2例であった。尿路感染症の基礎疾患としては, 膀胱腫瘍が4例, 前立腺肥大症が4例と最も多く, 次いで前立腺癌2例で, その他膀胱結石例, 膀胱腟瘻に尿路変更した例, 膀胱腫瘍に神経因性膀胱を合併した症例がそれぞれ1例であった。
投与方法は本剤1.0gを1日2回点滴静注またはone shot静注で5日間行ない, UTI薬効評価基準に従って効果判定を行なった。
複雑性尿路感染症13例の総合臨床効果は著効例はなく, 有効8例, 無効5例で有効率62%であった。主な分離起炎菌の細菌学的効果はS. marcescen 4株中3株に, P. aeruginosa 4株中1株, S. faecalis 2株中1株, Klebsiella 2株中2株, S. epidermidis 2株中2株が消失し, 全体に良好な成績が得られ, 総合した細菌学的効果は19株中13株が消失し, その菌消失率は68%であった。
副作用として本剤投与後5日目に下痢を起こした症例が1例あったが, 投与終了後下痢は消失した。この症例より糞便を採取して, C. difficileの分離および毒素産生の有無について調べた結果, CPE陽性, 抗C. difficile血清陽性で本剤との関連が示唆された。また投与前後で末梢血液所見, 肝機能, 腎機能のチェックを行なったが本剤の影響と思われる異常は認められなかった。
著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top