抄録
新セファロスポリン系抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) について基礎的・臨床的検討を行なった。
抗菌力については尿路臨床分離株に対し本剤とCTM, CMXの抗菌力を比較し, P.aeruginosaに対しては本剤とCFS, GMの抗菌力を比較した。E.coliの場合108cells/ml接種で1.56μg/ml106cells/ml接種で0.20μg/mlのピークを示し, CTM, CMXと同等もしくはやや優れる成績であった。C.freundii, K.pneumonice, E.cloacae および Profeus属ではCTMより1~3管以上優れていたが, CMXとは同等かもしくはわずかに劣っていた。ただしProteus Indole (-) においては106cells/ml接種の場合MICはすべて0.25μg/ml以下でCMXよりも優れていた。S.marcescensでは108cells/ml接種の場合CAZ, CTMおよびCMXともほとんどが100μg/ ml以上であった。106cells/ml接種ではCAZは3.13μg/mlにピークを有し, CTMより明らかに, そしてCMXよりやや優れていた。P.aerugfnosaの場合108cells/ml接種ではCAZは CFSより優れ, GMとほぼ同じ分布を示した。106cells/ml接種ではピークは3.13μg/mlにあり, GMおよびCFSよりわずかに優れていた。
健康成人3例のCAZ 1g静注後の血中濃度は30分後で平均115μg/mlで, 以後漸減し, 6時間後でも平均7.3μg/mlの値を示した。尿中濃度のピークは0~2時間尿に認められ, 平均3,067μg/mlで, 投与後8時間までの回収率は54.2%であった。
臨床成績は複雑性尿路感染症患者26例に本剤1日1.0gから4.0gを2回に分割し5日間連続投与し, 著効6例, 有効16例, 無効4例で有効率85%であった。分離菌は29株中消失27株, 存続2株, 投与後出現菌3株で, 菌消失率は93%であった6検査値異常はGOTの軽度上昇1例, 血清Kの軽度減少1例および末梢白血球数の軽度減少1例が認められたがいずれも一過性であった。