CHEMOTHERAPY
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産婦人科領域におけるCeftazidimeの基礎的・臨床的検討
松尾 直裕城下 豊麿白川 光一
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1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 811-816

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抄録
新化学療去剤Ceftazidime (CAZ, SN401) を使用して, 子宮摘出症例における組織内濃度の測定, ならびに産婦人科領域における感染症に対する治験を行なった。
子宮組織内濃度の測定は, 12例に行なったが, CAZの1g点滴後2時間, 2g点滴後3時間の血中濃度は比較的高い値を示し, また, 組織移行性も比較的良好であった。
臨床治験は感染症10例に行なったが, その内訳は, 敗血症 (不全流産後) 1例, 附属器炎 (両側および右側各1例) 2例, 骨盤腹膜炎1例, 左パルトリン腺膿瘍1例, 早期破水後の羊膜炎1例, および尿路感染症4例 (腎盂腎炎1例, 膀胱炎3例) であり, 使用法はCAZの2~4gを1~2回分注, 3~6日間にわたり, 点滴静注により投与した。
有効例は10例中6例で, そのうち3例は著効例であった。細菌学的には菌検出は10例中3例で, 菌検出率は30%であったが, これらの検出菌については, 可能な限りのdisc法による薬剤感受性を検討した。
副作用は10例中1例において, 口内炎および腟カンジダの発生をみたが, この例はCAZ投与前に, 他の抗生物質の投与をも受けていた例であった。その他の副作用, すなわち悪心, 嘔吐, 食思不振, 下痢などの胃腸障害は認められなかった。また, 血液一般, 肝腎機能に及ぼす影響についても検討を加えたが, CAZに起因する副作用的変化は認あられなかった。
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© 社団法人日本化学療法学会
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