CHEMOTHERAPY
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リボスタマイシソの毒性学的研究
急性毒性と薬動力学的解析
小枝 武美須野 貴美子堀坂 和敬小宮 泉
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1984 年 32 巻 12 号 p. 949-954

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抄録

アミノ配糖体系抗生物質であるリポスタマイシン (RSM) をラットの後肢大腿部の筋肉内に投与し, 毒性学的検討を行なった。LD50は 1,850mg/kg であり, 死亡原因は呼吸麻痺と思われ, まず呼吸が停止し, 次に心臓が停止するという経過をたどった。そこで呼吸筋として働く横隔膜および内・外肋間筋と, 呼吸に関与しない前腕三頭筋に対する RSM の移行濃度を測定し, 薬動力学的解析を行なった。ラットに対し, RSM の 20 (臨床量), 200, 1,000 および 3,000mg/kg を筋肉内投与し, 経時的に血清および上記の3種の筋肉内の RSM の濃度を円筒平板法により測定した。
薬動力学的解析は, 血清については one-compartmento pen model に, 筋肉については deconvolution 法に従って行なった。その結果, 20 と 200mg/kg の投与ラットの筋肉では, 投与後約10分に最高筋肉内濃度に達し, その濃度は横隔膜が最も高値であり, 次いで肋間筋, 前腕三頭筋であった。1,000mg/kg の投与ラットでは, 肋間筋が最高値を示し, 次いで横隔膜, 前腕三頭筋であった。また, 組織移行性パラメーター (K1/K2) を求め, 3種の筋肉への RSM の移行を比較したところ, 前腕三頭筋へは, 他の2種の呼吸筋より RSM がやや移行しにくいという傾向がみられ, RSM の急性毒性としての呼吸抑制の発現との関連が示唆された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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