CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
大腸菌に対するCefsulodinの抗菌作用について
尾花 芳樹西野 武志谷野 輝雄
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 32 巻 12 号 p. 955-965

詳細
抄録

大腸菌に対する cefsulodin (CFS) の抗菌作用について, sulbenicillin (SBPC) を比較薬として検討を行なったところ, 次のような結果が得られた。
1) 殺菌作用については, 両薬物は強い殺菌作用を有し, spheroplagt を形成後, 溶菌に導くものであった。しかしながら synchronous culture 系での検討では, CFS は cell age に関係なく殺菌作用を示すが, SBPC では分裂期のみに殺菌作用が認められた。また培地 pH の影響について検討したところ, CFS はアルカリ側で, SBPC は酸性側で殺菌力が増強された。
2) 大腸菌のもつ autolysin 活性はアルカリ側で増強されたが, CFS および SBPC 処理により, さらに活性上昇が認められた。この活性については, CFS 処理では, cellage に関係なくいずれの phase でも認められたが, SBPC では分裂期に特に強くなることが認められた。
3) CFS 処理による溶菌は, SBPC 処理によるものよりも強いものであり, これらの溶菌は, いずれも蛋白合成に依存するものであった。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top