CHEMOTHERAPY
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TA-058の抗菌力および呼吸器感染症に対する臨床的検討
渡辺 彰大泉 耕太郎佐々木 昌子青沼 清一大沼 菊夫今野 淳
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1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 206-214

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抄録

新しいペニシリン系抗生物質TA-058に関して各種病原細菌に対するin vitro抗菌力をPiperacillin, Sulbenicillinを対照として比較検酎するとともに, 呼吸器感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討を加えた。
黄色ブドウ球菌に対するTA-058の抗菌力は, PIPCより劣るがSBPCと同等である。大腸菌と肺炎桿菌およびセラチアに対するTA-058の抗菌力は, PIPCより劣るがSBPCより約4倍優れている。β-lactamase産生大腸菌に対するTA-058のMICは大きい値を示し, PIPC, SBPCと同様に, β-lactamaseには不安定であると考えられる。緑膿菌に対するTA-058の抗菌力はPIPC. SBPCより劣っている。
呼吸器感染症9例 (急性肺炎4例, 気管支喘息に合併した気道感染1例, びまん性汎細気管支炎1例, 肺気腫二次感染1例, 肺癌二次感染2例) に対するTA-058の臨床効果は, 著効3例, 有効4例, 無効2例であった。9例中6例から起炎菌としてインフルエンザ菌3株, 黄色ブドウ球菌と肺炎球菌および肺炎桿菌が各々1株の計6株を分離した。TA-058の投与により5株の菌消失が得られたが肺炎桿菌1株は持続した。本剤の投与により, 2 例においてGOTとGPTの上昇がみられたが, 投与終了後に正常化した。

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© 社団法人日本化学療法学会
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