抄録
TA-058の臨床分離菌に対する感受性分布をampicillin (ABPC) を対照薬として検討し, さらに内科系感染症に対する治療成績を検討した。
各種臨床分離株について最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。対照としたABPCに比し, 本剤はH.influenzae, P.mirabilisでABPCより優れ, E.coliの感受性株でもABPCより優れていた。しかし腸球菌, S.aureusでは, ABPCに劣る抗菌力であった。
臨床的検討として, 尿路感染症2例, 呼吸器感染症6例に本剤を投与した。尿路感染症はいずれも単純性膀胱炎で, 総合臨床効果は2例とも有効であった。呼吸器感染症は急性肺炎4例, 肺化膿症1例, 慢性気管支炎1例であった。臨床効果は, 著効1例, 有効3例, やや有効1例, 無効1例であった。総合有効率は75%であった。
本剤に起因すると思われる副作用および臨床検査値の異常は認めなかった。