CHEMOTHERAPY
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TA-058に関する基礎的, 臨床的検討
松田 静治柏倉 高古谷 博倉林 道男国保 健太郎吉田 浩介木野 秀郷久保田 武美小林 徹夫山本 勉長沢 敢
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1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 698-705

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抄録
注射用合成ペニシリンであるTA-058について産婦人科領域における基礎的, 臨床的検討を試みた。抗菌力試験では本剤の感受性分布を臨床白来株のE.coli, K.pneumoniae, P. mirabilis, P. aeruginosa, S. aureus, S. faecalisを用いて検討し, 類似のべニシリン剤と比較したが, 本剤の抗菌力の特徴を指摘することができなかった。本剤の経胎盤移行はかなり良好で1.0g静注後2時間以内で母体血濃度の約1/2以上の臍帯血移行がみられるほか羊水移行も認められる。しかし乳汁内への移行は低い。臨床成績として性器感染症13例.尿路感染症14例の計27例に使用し, 有効22例で81.5%の有効率を収めた。疾患別では複雑性尿路感染症を含む尿路感染症の有効率71.4%は軽度ないし中等度感染症が主である性器感染症に較べて低い結果を得た。さらに, 分離菌別の臨床効果を単独菌感染, 複数菌感染で比較した。なお本剤による副作用は認められていない。
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© 社団法人日本化学療法学会
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