CHEMOTHERAPY
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Sulbactamの各種β-lactamase不活化作用とペニシリン結合蛋白に対する親和性
横田 健関口 玲子東 映子鈴木 映子
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 11-19

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抄録

Sulbactam (SBT) 等のβ-lactamase inhibitorの作用機序を検討した結果, 耐性菌に対しβ-lactam抗生物質と協力作用が強い薬剤は, 酵素に対する不可逆的不活化力を持つものであり, 一時阻害力の強弱は影響が少ないことがわかった。SBTは, Ic, II, III (TEM) およびV (OXA) 型β-lactamaseを強く, Ia型β-lactamaseを軽度に不活化するので, 広域第三世代cephemの一つであるCefoperazoneと組み合わせると, P. vuigaris, P. cepacia, B. fragilis, R因子を持ったE. coli, Klebsiella, P. mirabilis等に協力的抗菌力が認められる。しかしIII (TEM) 型酵素に対する不活化力は, clavulanic acid (CVA) より弱い。またIc型β-lactamaseを染色体性に産生するSerratia等に対しても, CPZとある程度の協力作用が認められる。
SBTは25μg/ml以上においてE. coliのPBPをla, 3, 2の順序におさえ, CPZと組み合わせると溶菌濃度が著明に低下した。

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© 社団法人日本化学療法学会
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