1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 236-243
新しいβ-lactamase阻害剤であるsulbactam (SBT) とcefoperazone (CPZ) の1: 1の配合剤について検討した。
臨床分離のグラム陰性桿菌101株について, 本剤およびCPZ, CMZ, CEZに対する感受性を測定した。E. coli (41株) に対する本剤のMICは0.1~100μg/mlに分布し, ピークは0.2~0.4μg/mlにあり, CEZやCMZよりすぐれているがCPZと同等ないし1段階高いMICを示す株が大部分であった。Klebsiella (20株) に対する本剤のMICは<0.1~25μg/mlに分布しピークは0.4μg/mlにあり, CEZやCMZよりすぐれCPZと同等の分布を示した。P. aeruginosa (20株) では, 0.4~100μg/mlに分布し, ピークは6.4μg/mlにありCPZに比し同等または一段階高いMICを示すものが大部分であった。
臨床的には肺炎5例, 胆道感染症1例, 歯肉炎1例の計7例に本剤1回1~2g, 1日2回点滴静注または静注により14~31日間使用した。成績は著効1例, 有効5例, 無効1例であった。副作用症状は全例において, とくに認められなかったが, 検査値の異常は4例で認められた。しかし, うち2例では本剤使用との因果関係は不明であった。他の例ではGOT上昇・好酸球増多が1例, GOT・GPT上昇が1例認められたが, いずれも一過性かつ軽度であった。