CHEMOTHERAPY
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Sulbactam/Cefoperazone臨床的検討
渡辺 一功浜本 恒男日比野 順子椎名 和彦泉 昭森 健池本 秀雄
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 230-235

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抄録

米国ファイザー社で開発されたβ-lactamase阻害剤のSulbactam (以下SBT) とCefoperazone (以下CPZ) を1対1に配合したSBT/CPZを10例の感染症症例に投与し, その臨床効果, 副作用などについて検討したのでその成績を報告する。
対象疾患は肺炎4例, 慢性気管支炎3例, 気管支拡張症2例, 亜急性心内膜炎1例の計10例で性別は男子7例, 女子3例, 年齢分布は34歳よ1) 79歳 (平均61.4歳)。投与方法は, SBT/CPZ1バイアル (SBTとCPZ各々500mg含有) を100~250mlの溶解液にて溶解, 1~2時間の点滴静注で1日2回投与した。投与日数は8~32日 (平均15.9日), 総投与量は16~64g (平均31.8g) であった。
臨床効果は10例中, 著効3例, 有効6例, 無効1例で疾患別では肺炎4例中著効2例, 有効2例, 慢性気管支炎3例中有効2例, 無効1例, 気管支拡張症2例中有効2例, 亜急1生心膜炎例は著効であった。
細菌学的には, 起炎菌を確認できた4例中2例が除菌され, 1例で菌数の減少, 1例が除菌不能であった。
副作用に関しては, 本剤投与による臨床検査値の異常は重篤なものもなく, 下痢, 発熱, 嘔気, 嘔吐, 発疹などの臨床症状は認めなかった。
S. sanguisによる亜急性心内膜炎の症例で血清発育阻止試験を試み, 本剤の有用性を示す結果を得た。

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© 社団法人日本化学療法学会
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