CHEMOTHERAPY
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Sulbactam/Cefoperazoneに関する基礎的, 臨床的検討
松本 文夫高橋 孝行杉浦 英五郎田浦 勇二平林 哲郎
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 272-280

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抄録

β-lactamase阻害剤であるSulbactamとCefoperazoneとの合剤, すなわちSulbactam/Cefoperazoneについて抗菌力, 吸収臨床効果などを検討し, 以下のごとき成績を得た。
1. 本剤の臨床分離S. aureus, E. coli, K. pneumoniae, P. mirobilis, P. aeruginosaそれぞれ50株に対する抗菌力はCefoperazoneとほぼ同等の抗菌力を示したが, E. coli, K.pneumoniae, PmimbilisではCefoperazoneに3.13~6.25μg/ml以上のMICを示す菌株において本剤に対して感受性の鋭敏化がみられ, β-lactamase阻害剤の添加の有用性がみとめられた。
2. 本剤を呼吸器感染症2例に2.0g1時間点滴静注した際の血中濃度は点滴終了時にpeak値がみられ, Cefoperazoneはそれぞれ131.6μg/ml, 141.2μg/ml, Sulbactamは58.2μg/ml, 60.3μg/mlの値でほぼ2: 1の比率であった。
3. 内科系感染症のうち, Klebsiella肺炎, 緑膿菌性肺化膿症, 慢性腎盂腎炎各1例計3例に本剤を使用した。Klebsiella肺炎は1日2.0gの使用では効果なく, 4.0gの増量使用によって良好な効果が得られた。緑膿菌性肺化膿症ではCPZは無効であったが本剤を4.0g使用することによって有効な結果が得られた。慢性腎盂腎炎例はKlebsiellaを原因菌としたが, 1日2.0gの使用で効果なく本剤4.0g使用で有効の結果を得た。
今回の私達の検討では, 比較的重症例か対象であったが, 1日4.0g使用が妥当と思われた。
副作用および臨床検査の異常値は認められなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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