CHEMOTHERAPY
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In vitroにおける静止感染ヘルペスウイルスの再活性化に及ぼす生活環境物質の影響
福間 真理子瀬戸 淑子豊島 滋
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1985 年 33 巻 9 号 p. 733-742

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抄録

今日までに私共は, 日常生活の中で摂取され得る環境物質の中に, 単純性疱疹ウイルス2型 (HSV-2) の増殖を抑制するものと促進するものが存在することを見出したので, 今回はそれらの物質がin vitroの静止感染系において. HSV-2の再活性化にいかに作用するかを検討した。静止感染系は,(i) 紫外線処理ウイルス (UV-HSV-2),(ii) 代謝阻害剤処理細胞. および,(iii) in vivo感染後のマウス三叉神経節, を用いて作製し, 食用色素, 医薬品, 重金属を含む13個の環境物質についてその作用を検討した。その結果,(i) の系でなトウイルス再活性化に対しamaranth, safroleは強く抑制し, erythrosine, 2-AAF, phenacetinは軽度に抑制した。一方nicotineには促進作用が認められた。(ii) の系ではamaranthに強い抑制作用が認められ, erythrosine, 2-AAFには軽度の抑制作用が認められた。そこで (iii) の系を用いてamaranth, safrole, phenacetin, nicotineについて検討したがウイルス産生量に変動が大きく有意差は得られなかった。しかしphenacetin処理群では非処理群に比べ10倍程度高い感染量が認められ, 三叉神経節からのウイルス再活性化に対し, phenacetinは促進的に作用する傾向を示した。この研究で, 静止感染系からのウイルス再活性化に対しても環境物質の中のいくつかは, 抑制的あるいは促進的に作用することが認められ再燃性ヘルペス感染症に対し, これらの環境物質が何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。

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