CHEMOTHERAPY
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Latamoxefの腎嚢胞内移行について
高橋 義人堀江 正宣磯貝 和俊松田 聖士加藤 直樹栗山 学兼松 稔坂 義人西浦 常雄篠田 育男説田 修
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1986 年 34 巻 4 号 p. 312-315

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抄録

われわれは, Latamoxef (LMOX) の単純性腎嚢胞内溶液中への移行について検討した。対象は単純性腎嚢胞と診断され, 特に基礎疾患を有していない5症例 (男性3例, 女性2例, 平均年齢66.0歳) である。排泄性腎盂造影による腎機能は, 患側腎および対側腎とともに, 左右差なく良好であった。嚢胞内溶液の採取は, エコー監視下に嚢胞を直接穿刺することによって行なった。穿刺の20分ないし40分前にLMOX 1gをone shot静注し, 嚢胞内溶液, 血液, 新鮮尿を同時に採取した。
嚢胞内溶液は, 全例, 無色から淡黄色透明であり, 生化学的分析では, ほぼ血清に近いものであった。各検体のLMOX濃度はthin layer cup methodにより求めた。嚢胞内溶液中濃度は0.46±0.154μg/ml, 血清中濃度は43±10.2μg/ml, 尿中濃度は, 4,100±2,160μg/mlであった。LMOXの単純性腎嚢胞液中への移行は不良であり, 腎嚢胞感染症に対する有効なLMOX濃度は得がたいものと思われた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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