CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
抗菌剤アレルギーにおけるLMITの臨床的応用
宇野 勝次山作 房之輔
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 34 巻 6 号 p. 522-529

詳細
抄録

Delayed type hypersensitivity (DTH) の成立を証明するLeucocyte migration inhibition test (LMIT) を臨床的に応用することにより, 抗菌剤によるアレルギー患者の起因薬剤の同定を行なった。水に不溶性の抗菌剤の抗原調製では3種類の溶媒 (0.1Mリン酸溶液, 0.1M水酸化ナトリウム溶液, Propylene glycol) を用いて溶解した。抗原液は薬剤のsubtoxicな濃度とし, carrierとして等量の患者血清を加えて多価抗原とした。抗菌剤によるアレルギー疑診患者61例に対してLMITを行なった結果, 41例 (67%) にLMIT陽性薬剤を検出した。症状別では薬疹の疑診患者51例中33例 (65%) にLMIT陽性を示し, Drug feverの疑診患者15例中14例 (93%) にLMIT陽性を示し, 薬剤性肝障害の疑診患者9例中8例 (89%) にLMIT陽性を示し, Ana-phylactic shock1例はLMIT陰性を示した。この結果から, 抗菌剤による薬疹, Drug fever, 薬剤性肝障害においてDTHの関与が非常に大きく, 起因薬剤の検出にLMITは有効と考えられる。50代から70代の女性がLMIT陽性患者全体の41%を占め, 抗菌剤によるアレルギー患者は女性の高年齢者に多い傾向を示した。β-Lactam剤はLMIT陽性の抗菌剤全体の69%を占め, DTHにおいて免疫原性の強い薬剤であることを示した。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top