CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症に対するMK-0787/MK-0791とCefoperazoneの比較検討
河田 幸道他
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1986 年 34 巻 6 号 p. 536-560

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抄録

新しく開発されたカルバペネム系抗生物質MK-0787と, 腎のdehydropeptidaseの阻害剤であるMK-0791の1:1の配合剤 (以下MK) の, 複雑性尿路感染症に対する有用性を客観的に評価する目的で, cefoperazone (CPZ) を対照としたwell controlled studyを行なった。MKは1回1g (MK-0787として0.5g), CPZも1回1gをいずれも1日2回, 点滴静注により5日間投与した後, UTI薬効評価基準により臨床効果を判定したが, 両群の背景因子には差を認めなかった。
総合有効率はMK投与群の108例で74.1%と, CPZ投与群の115例中55.7%に比べ有意に高く, UTI疾患病態群毎の比較では, 第2群と第6群においてMKの臨床効果が有 意に高かった。また細菌消失率も, MK投与群では160株中86.9%と, CPZ投与群における174株中74.1%より有意に高く, 菌種別にはS. aureus, C. freundii の消失率がMK投与群において有意に高かった。
投与後出現細菌はMK投与群では29例 (26.9%) から36株, CPZ投与群では36例 (31.3%) から47株が分離されたが, 出現頻度, 分離菌種の内訳は両群間に差を認めなかった。副作用はMK投与群に1例 (0.7%), CPZ投与群に3例 (2.1%) 認められ, また臨床検査値の異常はMK投与群に10例 (17件), CPZ投与群に15例 (31件) 認められたが, 両群間に差はなかった。
これらの成績から, MKは複雑性尿路感染症の治療に際して有用性の高い薬剤であると考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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