CHEMOTHERAPY
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下部消化管手術後感染予防について
CefmetazoleとLatamoxofの効果の比較
品川 長夫福井 拓治水野 裕支石川 雅一細野 進真下 啓二水野 章高岡 哲郎石川 周水野 勇由良 二郎
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1987 年 35 巻 11 号 p. 833-838

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抄録

1983年1月より1986年3月までに定期手術を施行した下部消化管手術例を対象とし, 術後感染予防としての抗生物質の効果について比較検討した。選ばれた薬剤はCefmotazole (CMZ) とLatamoxef (LMOX) である。第1回投与は, 無作為に割り付けられた薬剤の2gを手術開始と同時に静注投与した。第2回以後はlgを8時間ごとに点滴静注し, 合計4日間の投与を原則とした。解析対象はCMZおよびLMOXの両投与群でそれぞれ2例の脱落例を除いて, 両群いずれも75例であった。平均年齢, 男女比, 対象疾患, 対象手術および術前の臨床生化学検査では両群に有意差はなかった。術前完全経静脈栄養を施行した症例はLMOX群に多かったが (P<0.05), その他の処置では差はなかった。術後感染症の発症率は全体として両群に差はなかったが, 創感染および腹腔内感染などの手術操作部に関連した術後感染症はCMZ群11例に対し, LMOX群では1例であり有意差がみられた (P<0.05)。薬剤の副作用および臨床検査値の変動については両群に差はみられなかった。以上より下部消化管手術ではLMOXはCMZより優れた感染予防効果があると考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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