1988 年 36 巻 2 号 p. 109-114
真菌感染症は広域抗生物質使用による菌交代症, あるいは制癌剤, ステロイドホルモン剤, 免疫抑制剤投与などによるopportunistic infectionの一つとして最近増加傾向にある。なかでも真菌による敗血症は, 重篤な基礎疾患のうえに発症するものが多く, その予後は極めて不良である。教室において最近経験した真菌性敗血症7例をみても, 2例は抗真菌剤による治療にて救命しえたが, 5例はDisseminated intravascular coagulation (DIC), Multiple organ failure (MOF) を併発し死亡しており, その治療の困難さをうかがわせる。