CHEMOTHERAPY
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合成抗菌剤T-3262のマウス, ラット, イヌでの急性毒性試験
河村 泰仁中川 重仁鬼頭 暢子三善 隆広柴田 哲夫米田 豊昭
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1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p. 221-232

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抄録

T-3262の急性毒性試験をマウス, ラットおよびイヌを用いて行い, 次の結果を得た。
1) T-3262の経口投与でのLD50値はマウス, ラットともに69/kg以上, イヌでは39/kg以上であった。非経口投与では, 皮下, 腹腔内投与でのLD50値がマウス, ラットともに69/kg以上であり, 静脈内投与でのLD 50値がマウス雄196mg/kg, 雌247mg/kg, ラット雄270mg/kg, 雌300mg/kg以上であった。
2) T-3262を大量に経口投与したラットには軟便, イヌには嘔吐がみられた。腹腔内投与では, マウス, ラットにライジングと自発運動減少が認められた。静脈内投与ではマウス, ラットによろめき歩行, 自発運動減少, 呼吸不整, 立毛がみられた。死亡例は, マウスでは間代性痙攣を起こし, ラットでは脱力, 呼吸不整, 呼吸数減少を起こして死亡した。
3) T-3262 3g/kgあるいは1.89/kgを経口投与したイヌの臨床検査では, GOT, GPTの軽度一過性上昇が認められた。
4) 組織学的検査では, マウスの経口, 腹腔内および静脈内投与の2週間生存例の腎の間質に細胞浸潤と線維化, それに尿細管上皮の空胞変性を認めた。皮下投与例ではマウス, ラットとも注射局所皮下に検体の残留と異物性肉芽組織を, 腹腔内投与例では検体の残留と腹腔内臓器の炎症性癒着を認めた。静脈内投与マウス, ラット死亡例で肺胞壁毛細血管に検体析出による塞栓が認められた。

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