CHEMOTHERAPY
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T-3262のラット生殖に及ぼす影響
中田 弘子中村 昌三小前 憲久三善 隆広能島 康幸赤坂 美保子西尾 由美子米田 豊昭
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1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p. 294-319

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抄録

新しい合成抗菌薬T-3262の80, 500および3,000mg/kgをSD系ラットに経口投与して一連の生殖試験を行ない母体, 胎仔および出生仔におよぼす影響を検討した。
1. 妊娠前および妊娠初期投与試験
雌雄の生殖能力および胎仔の外形, 骨格, 内臓に異常は認められず無影響量は3,000mg/kgと推定された。
2. 器官形成期投与試験
母体の体重増加, 分娩および哺育に異常を認めなかった。500mg/kg以上の投与群の胎仔に冠状動脈口過剰が, 3,000mg/kg投与群の胎仔および出生仔に13肋骨の短小が有意な出現頻度で観察された。出生仔の発育, 外形分化, 情動性, 学習能力および生殖能力には異常を認めなかった。無影響量は母体の分娩および哺育に対しては3,000mg/kg, 胎仔に対しては80mg/kg, 出生仔に対しては500mg/kgと推定された。
3. 周産期および授乳期投与試験
母体の分娩および哺育, 出生仔の発育, 外形分化, 情動性, 学習能力および生殖能力には異常を認めなかった。T-3262投与全群の4日齢仔に脛骨の変形が観察されたが, 生殖能力試験終了後 (17~18週齢) の骨格・検査では異常を認めなかった。無影響量は母体の分娩および哺育に対しては3,000mg/kg, 出生仔に対しては80mg/kg未満であると推定された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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