CHEMOTHERAPY
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ニューキノロン剤T-3262の腸炎起因菌に対する試験管内抗菌力
後藤 延一堀内 三吉稲垣 好雄エカタクシン チャルアイ桧垣 恵高野 秀子小川 正之中谷 林太郎
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1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p. 30-35

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抄録

開発中のニューキノロン (以下NQ) 系経口抗菌剤T-3262の, 下痢症患者および保菌者から分離された各種腸炎起因菌 (Skigella spp. 50株, Salmonella spp. 25株, Esckerickia coli 25株, Campylobacter spp. 25株, Vibrio parakaemolyticus 25株) に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, nalidixic acid (NA), pipemidic acid (PPA), norfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), enoxacin (ENX) などと比較した。90%の菌の発育を抑制するMIC (MIC90, 単位はμg/ml) は, T-3262が上記の菌に対して, それぞれ0.025, 0.05, 0.05, 0.10, 0.39であった。この値はV. parakaemolyticusを除くほかの菌種では, 他の薬剤のMIC90の1/4以下であった。V. parakaemolyticusに対するMIC90は, NFLXが0.20で最も低く, T-3262はOFLX, ENXと同じく0.39であった。V. parakaemolyticusを除く菌株に対してT-3262に次いでMIC90が低かったのはNFLXとOFLXで, T-3262のおおむね4倍またはそれ以上, ENXがさらにそれらの2倍であった。PPA, NAなど在来のキノロン剤のMICは, いずれの菌に対しても, どのNQ剤よりもはるかに高かった。NAのMICが100以上の耐性菌に対するT-3262のMICは, S. flexneri 2株に0.05, S. typhimurium 1株に0.20, C. jejuni 2株に0.10および6.25であった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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