CHEMOTHERAPY
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T-3262の変異原性試験
培養細胞及びマウスを用いた細胞遺伝学的試験
中村 昌三小前 憲久能島 康幸米田 豊昭
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1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p. 326-336

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抄録

新合成抗菌剤T-3262の変異原性を検討するため, 培養細胞を用いたin vitro変異原性試験およびマウスを用いたin vivo変異原性試験を実施し, 以下の結果を得た。
1) In vitro変異原性試験では, V79細胞を用いて姉妹染色分体交換 (SCE) 試験および直接法とラット肝ホモジネートS9分画を用いた代謝活性化法での染色体異常試験を実施した。その結果, T-3262各処理群のSCE頻度および染色体異常を有する細胞の出現頻度はいずれも対照群との間に統計学的有意差が認められなかった。
2) In vivo変異原性試験では, マウス骨髄細胞の染色体異常試験と小核試験を実施した。その結果, T-3262各投与群の染色体異常を有する細胞の出現頻度および小核を有する多染性赤血球の出現頻度はいずれも対照群との間に統計学的有意差が認められなかった。
3) 以上のSCE試験, 染色体異常試験および小核試験において, T-3262はDNA損傷性や染色体異常誘発性を示さず変異原性は認められなかった。

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