CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
新ピリドンカルボン酸系抗菌剤T-3262の細菌学的評価
保田 隆渡辺 泰雄四辻 彰林 敏雄南 新三郎岡本 世紀山城 芳子荒木 春美伊東 優子本村 桂子
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p. 95-109

詳細
抄録

新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤T-3262のin vitroおよびin vivo抗菌活性をnorfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) を対照薬剤として比較した結果, 以下の成績を得た。
1) T-3262はグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムを有していた。グラム陽性菌に対しては, すべての対照薬剤より強い抗菌力を示し, またグラム陰性菌に対しては CPFXとほぼ同程度, NFLX, OFLXより優れた抗菌力を示した。
2) T-3262はPseudomonas aeruginosaを含むブドウ糖非醗酵菌, Bacteroides fragilisを含む嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示した。
3) T-3262はmethicillin耐性ブドウ球菌およびnalidixic acid耐性グラム陰性菌に対しても強い抗菌力を示した。
4) T-3262の抗菌力に及ぼす諸因子の影響では培地の種類, ヒト血清添加の影響はほとんど受けず, 培地pHがアルカリ性側のとき抗菌力が強まった。
5) T-3262の作用は殺菌的であった。
6) グラム陽性菌およびグラム陰性菌を用いたマウス実験的全身感染症でT-3262は優れた治療効果を示した。特にグラム陽性菌においてすべての対照薬剤より優れた治療効果を示した。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top