CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
Sawchuk-Zaske法によるnetilmicinの治療薬物モニタリング
河野 晴一松尾 典子吉野 信次近藤 有好
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 37 巻 10 号 p. 1245-1251

詳細
抄録

Individual Pharmacokinetic法であるSawchuk-Zaske法を用い, aminoglycoside系抗生物質であるnetilmicinの治療薬物モニタリング (TDM) を呼吸器感染症10例について実施した。血清中netilmich濃度はfluorescence polarization immunoassay (FPIA) を用いて測定した。10例の患者の薬物動態学的パラメータの平均値は, それぞれ, 生物学的半減期 (t1/2): 254±0.92h (mean±SD) 除去速度定数 (Ke): 0.298±0.093hみかけの分布容積 (Vd): 15.62±2.721そしてクリアランス: 5.04±1.97 1/hであった。実測trough値は, 0.40±0.22μg/ml (全例く2μg/ml)。実測peak値は, 7.46±100μg/ml (全例く12μg/ml) であり, 全症例について副作用は見られなかった。予測の偏りおよび精度はtrough値, peak値でそれぞれME (予測の偏り) は-0.010,-0.104μg/ml, MAE (予測の正確さ) は0.180, 1.064μg/ml, RMSE (予測のバラツキ) は0.253, 1.231μg/mlであった。Sawchuk-Zaske法を用いたnetilmicinのTDMは, 薬物動態学的パラメータの予測および, 最適投与量設定に有用性の高いものであると考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top