CHEMOTHERAPY
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難治呼吸器感染症における静注用免疫globulin製剤の有用性について
病巣への移行性の検討
岡野 昌彦佐藤 篤彦
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1989 年 37 巻 10 号 p. 1252-1257

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抄録

静注用免疫グロブリン (ガンマベニンG・V) の呼吸器感染症における有用性と感染病巣への移行性について検討した。対象は, 肺炎4例 (糖尿病3例, 悪性リンパ腫1例) と慢性気道感染症8例 (びまん性汎細気管支炎 (DPB) 5剤, 気管支拡張症3例) で, 臨床効果は, 下熱が6例 (67%), 咳漱・喀痰量の減少が4例 (57%) に, 白血球数の減少が3例 (60%), 血沈ならびにCRPの改善が7例 (58%) に認められた。細菌学的には, グラム陰性桿菌10例が検出され, 5例が消失した。総合的臨床効果は, 12例中7例 (58%) が有効であった。G・V投与後の血清免疫グロブリンはIgGが有意に増加した。G・V5g投与終了30分後の血清, 喀痰, 肺胞洗浄液 (BALF) におけるG・V濃度はそれぞれ平均115, 0.075, 0.28mg/dlであり, 血清濃度と喀痰, BALF濃度は負の相関関係であった。また, アルブミンやIgGでG・V濃度を補正すると, BALFは血清の2~10倍であり, 肺炎, 気管支拡張症の症例において, G・Vの感染病巣への移行性が良好であった。難治呼吸器感染症において, G・Vを抗生物質と併用することは有用な治療法の1つであり, 臨床効果をもたらす一因として, G・Vの病巣部への良好な移行性によるものと推定された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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