CHEMOTHERAPY
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動物由来Pasteurella multocidaのofloxacinと既存の17薬剤に対する感受性の比較
高橋 勇吉田 孝治東出 義弘沢田 拓士
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1989 年 37 巻 4 号 p. 399-405

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抄録

動物 (主としてブタの肺炎) 由来Pasteurella multocida のofioxacin (OFLX) に対する感受性を既存の17種の抗菌性物質のそれと比較検討した。
1) 本菌 (37株) の感受性は, OFLXに対して最も高く, 全株がMIC 0.025~0.1μg/mlに分布していた。以下, 高感受性を示した薬剤 (MIC: 0.1~0.8μg/ml) を順にあげると, trimethoprim, oxolinic acid (OXA), ampicillin (ABPC), chloramphenicol, thiamphenicolであった。以上に次いでやや高度~中等度感受性を示した薬剤 (MIC: 0.8~6.25μg/ml) は, sulfamethoxazole (SMX)-trimethoprim合剤 (20: 1), doxycycline (DOXY), oxytetracycline (OTC), tiamulinであった。低感受性を示した薬剤 (MIC: 12.5~50μg/ml) は, streptomycin (SM), kanamycine, spectinomycin, tylosinであり, またSMXではMICが25~200μg/mlであった。
2) 以上の薬剤のうちで耐性が認められたのは, SMX (35.1%), SM (8.1%), ABPC (5.4%), DOXYとOTC (2.7%) であった。耐性型はSMX単剤耐性が最も多く, 他はSMX耐性にSM, ABPC, DOXY・OTC耐性が加わった2~3剤耐性が5株で, 合計13株 (35.1%) であった。これら耐性株もOFLXに対して他の株と同様の感受性を示した。
3) 本菌のOFLXに対する感受性を, 他の代表的ピリドンカルボン酸系4薬剤のそれと詳しく比較検討する目的で, 菌株を追加し, 計76株について試験を行なった。その結果, MIC分布のピークは, OFLX (0.05μg/ml), norfioxacin (0.1μg/ml), OXA (0.1μg/ml), nalidixicacid (0.8μg/ml), pipemidic acid (1.56μg/ml) であった。

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