CHEMOTHERAPY
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37 巻, 4 号
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  • 高橋 勇, 吉田 孝治, 東出 義弘, 沢田 拓士
    1989 年 37 巻 4 号 p. 399-405
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    動物 (主としてブタの肺炎) 由来Pasteurella multocida のofioxacin (OFLX) に対する感受性を既存の17種の抗菌性物質のそれと比較検討した。
    1) 本菌 (37株) の感受性は, OFLXに対して最も高く, 全株がMIC 0.025~0.1μg/mlに分布していた。以下, 高感受性を示した薬剤 (MIC: 0.1~0.8μg/ml) を順にあげると, trimethoprim, oxolinic acid (OXA), ampicillin (ABPC), chloramphenicol, thiamphenicolであった。以上に次いでやや高度~中等度感受性を示した薬剤 (MIC: 0.8~6.25μg/ml) は, sulfamethoxazole (SMX)-trimethoprim合剤 (20: 1), doxycycline (DOXY), oxytetracycline (OTC), tiamulinであった。低感受性を示した薬剤 (MIC: 12.5~50μg/ml) は, streptomycin (SM), kanamycine, spectinomycin, tylosinであり, またSMXではMICが25~200μg/mlであった。
    2) 以上の薬剤のうちで耐性が認められたのは, SMX (35.1%), SM (8.1%), ABPC (5.4%), DOXYとOTC (2.7%) であった。耐性型はSMX単剤耐性が最も多く, 他はSMX耐性にSM, ABPC, DOXY・OTC耐性が加わった2~3剤耐性が5株で, 合計13株 (35.1%) であった。これら耐性株もOFLXに対して他の株と同様の感受性を示した。
    3) 本菌のOFLXに対する感受性を, 他の代表的ピリドンカルボン酸系4薬剤のそれと詳しく比較検討する目的で, 菌株を追加し, 計76株について試験を行なった。その結果, MIC分布のピークは, OFLX (0.05μg/ml), norfioxacin (0.1μg/ml), OXA (0.1μg/ml), nalidixicacid (0.8μg/ml), pipemidic acid (1.56μg/ml) であった。
  • 渡邊 正人, 三橋 進, 井上 松久
    1989 年 37 巻 4 号 p. 406-411
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Methicillin感受性 (MSSA) および耐性Staphylococcus aureus (MRSA) に対するcefpiramide (CPM) とcefotetan (CTT) のin vitro併用効果を検討した。Checkerboard dilution methodによる併用効果の検討では, 両剤は中等度耐性, 高度耐性MRSAに対して良好な相乗効果を示し, 殺菌曲線における検討でも相乗的に作用した。さらにCPM, CTT両剤の存在下で生育した菌はautolysisしやすいことが認められ, これらが相乗効果を示す原因と考えられた。
  • Cefazolinとcloxacillinについて
    庭山 昌俊, 星野 弘之, 嶋津 芳典, 田崎 和之, 五十嵐 謙一, 和田 光一, 荒川 正昭
    1989 年 37 巻 4 号 p. 412-420
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種腎患疾におけるcefazolin (CEZ) とcloxacnlin (MCIPC) の蛋白結合率を遠心限外涙過法で測定し, さらに慢性血液透析患者にみられた蛋白結合能異常の原因を検索するために, 内因性物質や血液透析などの蛋白結合能への影響を検討し, 以下の結果を得た。
    1.腎炎の蛋白結合率は, CEZ84.6%, MCIPC796%で, ネフローゼのそれは, CEZ 88.1%, MCIPC85.6%であった。両疾患における両薬剤の蛋白結合率は健康人と大差はなかった。
    2.慢性血液透析患者の蛋白結合率は, CEZ 64.1%, MCIPC 52.1%で, 両薬剤共に健康人と比較して著明な低下がみられた。
    3.CEZとMCIPCの蛋白結合率はin vitroで血清蛋白がそれぞれ1g/dl以下, 2g/dl以下に減少しなければ影響を受けず, 臨床的には問題がないと思われる。
    4.慢性血液透析患者のCEZとMCIPCの蛋白結合率は, 血液透析により改善した。
    5.慢性血液透析患者血清のCEZの蛋白結合は, ゲル涙過で解離する弱い結合であった。
  • 実験動物におけるpenam剤とcephem剤間の交叉性
    宇野 勝次, 山作 房之輔, 永倉 直樹, 清水 忠順, 柳原 保武
    1989 年 37 巻 4 号 p. 421-425
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Penam剤およびcephem剤過敏症患者に対するdelayed-type hypersensitivity (DTH) におけるpenam剤とcephem剤間の交叉性に関する成績を確認する目的で, 動物実験を試みた。実験動物にモルモットを使用し, 感作薬剤として共に同じ側鎖構造を有するpenam剤のABPCとcephem剤のCEXの他に, penam剤の母核構造の6APA, cephem剤の母核構造の7ACA, ABPCとCEXの両者の側鎖構造自体のphenylglycineを加えた5種類の薬剤を用い, 交叉試験として遅延型皮内反応とleucocyte migration inhibition test (LMIT) の2つの方法で, 試験薬剤10剤について検討した。
    感作モルモットにおける遅延型皮内反応とILMITの結果は, ほぼ一致し, 臨床試験の成績を支持するものであった。ABPCによるDTHでは, 側鎖に類似構造を有するpenam剤のPCGや6APAの他に, 側鎖に類似構造を有するcephem剤のLMOXや7ACAにも交叉反応を認めたが, CEXの場合にに, cephem剤のLMOX, CETや7ACAにしか交叉反応を認めなかった。一方, 6APAによるDTHでは, penam剤の他に7ACAにも交叉反応を認めたが, 7ACAの場合には, cephem剤にしか交叉反応を認めなかった。また, phenylglycineによるDTHは, 成立しにくい結果を得た。以上より, DTHにおけるpenam剤からcephem剤への一方方向の交叉性は, 両者の側鎖構造の類似性だけに依存せず, 両者の母核間の交叉性にも依存するためと考えられる。
  • 竹内 良夫, 西村 葉子, 栗山 純一, 本間 義春, 横室 公三, 吉河 達祐, 田中 幹夫, 渡辺 日章
    1989 年 37 巻 4 号 p. 426-432
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Fosfomycin (FOM) が抗原性を発現する場合の機作をFOMの分解物および重合物の形成状態から検討し, 以下の結果をえた。
    1) 分解物の形成。FOM水溶液または, 筋肉内注射後に採取した血清中のFOMについてSIMS法, ゲル濾過法で測定した。いずれの方法でもFOM純品, または製剤に比ぺ大きな差はなく, 分解物の形成はほとんど観察されなかったがpolymerは僅かに検出された。
    2) 重合物の形成。GRANTらの方法で水溶液の状態で放置されたFOM試料をゲル濾過HPLCを用いて測定したが, polymerの形成は明らかではなかった。
    3) 上記実験操作中にFOMの吸着が推測されたので透析効果について検討した結果, PCGに比べ, 透析膜への強い吸着が観察された。
    以上の結果から, FOMが抗原化する場合にはFOMが何らかの物質に吸着することによって抗原性を発現し抗体が産生される可能性が推測された。
  • 鈴木 宗司, 八木田 旭邦, 緒方 幸雄
    1989 年 37 巻 4 号 p. 433-439
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    セブブペラゾンcefbuperazone (CBPZ) の大腸菌E.coli (KC-14) 感染治療実験で今回は本剤による好中球の殺菌活性の変動をNBT還元能を指標として, また血清中のリゾチーム濃度の変動などを中心にCBPZのそれらに与える影響を検討し, 以下の結果を得た。
    マウスにKC-14を感染させ, 1時間後に最小治癒量 (0.1mg/mouse) またはそれ以上の用量のCBPZを皮下に投与した場合, 用量に応じて4時間から8時間後の期間内にNBT還元能およびリゾチーム濃度が最高に増大し, その後漸次低下, 24時間後には元の正常域に戻った。この増大現象は正常マウスにCBPZを投与した場合にも同様の結果が得られた。さらにin vitroにおいてもCBPZ1.0~10μg/mlの濃度においてNBT還元能の増大が認められたことよりCBPZには好中球のNBT還元能および血清リゾチーム濃度の増大を促進する活性作用のあることが判明した。
    またCBPZ投与群のマウス血清の抗菌作用を調べた結果, 投与15時間後に至ってもその作用 (0.1mg/mouse) は残存していた。
    他方, 羊赤血球を抗原としてCBPZの抗体産生能に及ぼす影響についてCUNNINGHAM法を用いて検討した結果, CBPZの0.1mg/mouse濃度においても抗体産生促進作用が認められた。
  • Cefotiamとcefpiramideの効果の比較
    村元 雅行, 品川 長夫, 水野 章, 石原 博, 毛利 紀章, 桜井 敏, 福井 拓治, 保里 恵一, 真下 啓二, 花井 拓美, 高岡 ...
    1989 年 37 巻 4 号 p. 440-445
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1986年4月より1987年11月までに肝膿道系定期手術を施行した100例を対象とし, 術後感染予防としての抗生物質の効果について比較検討した。比較した薬剤は, cefotiam (以下CTM) とcefpiramide (以下CPM) である。第1回投与は, 無作為に割り付けられた薬剤の2gを手術開始と同時に点滴静注した。第2回以後は, CTMは8時間毎に1gを, CPMは12時間毎に1gを点滴静注し, 合計4日間投与した。解析対象は対象外手術の5例を除き, CTM群46例, CPM群49例であった。平均年齢, 男女比, 対象疾患, 対象手術および術前の臨床生化学検査値などの背景因子については両群に有意差は認められなかった。術後感染症の発症率は, CTM群9例 (19.6%), CPM群3例 (6.1%) であり, CPM群で低い傾向が認められた (P<0.1)。薬剤の副作用および臨床検査値の変動についても両群間に有意差は認められなかった。以上より肝胆道系手術では1日2回投与のCPMは1日3回投与のCTMと比較して投与が簡単であり, 感染予防薬として有用であると考えられた。
  • 富永 登志, 岸 洋一, 阿曽 佳郎, 新島 端夫, 原 徹, 簑和田 滋, 仁藤 博, 藤田 公生, 中内 浩二, 斉藤 功, 浅野 美智 ...
    1989 年 37 巻 4 号 p. 446-454
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    カテーテル非留置の複雑性尿路感染症患者に, NFLX200mgを, 1日3回, 7~14日間投与し, 著効または有効と判定された症例を無作為に2群に分け, 1群は再発予防を目的として, 1日1回200mgを就寝前に投与した。2群は無投与とした。4週間後に再発予防効果を判定した。1群 (予防投与群) は, 35例中1例に再発を認めた。再発率は2.9%であった。2群 (無投与群) は, 24例中10例に再発を認め, 再発率は41.7%であった。10週間以上にわたって再発予防効果を検討しえた11例では1例 (9%) に再発が認められた。
    カテーテル非留置の複雑性尿路感染症に対しては, NFLX1日1回200mg就寝前投与により, 充分な再発予防効果が認められた。
  • Cefaclorを対照薬とした二重盲検比較試験
    斎藤 厚
    1989 年 37 巻 4 号 p. 455-481
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefotiam hexetil (CTM-HE) の慢性気道感染症に対する有効性, 安全性および有用性をcefaclor (CCL) を対照薬とした二重盲検法により比較検討し, 以下の成績を得た。
    CTM-HEは1日1, 200mg, CCLは1日1, 500mgをそれぞれ3回に分割し, 原則として14日間経口投与した。
    1) 臨床効果の有効率 (有効以上) は委員会判定ではCTM-HE群 67.3%(76/113), CCL群 65.2%(73/112) であり, 主治医判定ではCTM-HE群 67.0%(75/112), CCL群 59.8%(67/112) であった。
    2) 総検出菌 (起炎菌) の消失率はCTM-HE群 64.0%(48/75), CCL群 55.8%(43/77) であった。
    3) 自他覚的副作用発現率はCTM-HE群 7.6%(9/119), CCL群 8.8%(11/125) であり, 臨床検査値異常変動の発現率はCTM-HE群 21.4%(24/112), CCL群 13.3%(15/113) であった。両剤とも自他覚的副作用の主なものは下痢等の消化器症状と発疹であった。臨床検査値異常変動では好酸球増多と血清トランスアミナーゼの上昇が大部分であり, いずれもこれまでのセフェム系薬剤と異質なものは認められなかった。
    4) 有用率 (有用以上) は委員会判定でCTM-HE群 66.4%(75/113), CCL群 62.6%(72/115) であり, 主治医判定ではCTM-HE群 65.2%(73/112), CCL群 59.1%(68/115) であった。
    以上の結果, CTM-HEは1日1, 200mgの用量でCCLの1日1, 500mgと同等の有効性と安全性を示し, 慢性気道感染症に対して有用な薬剤であると結論された。
  • 荒田 次郎
    1989 年 37 巻 4 号 p. 482-503
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    目的: Lomefloxacin (NY198) とnorfloxacin (NFLX) を二重盲検法により比較検討する。
    方法: 第1群 (毛包炎, ポックハルト膿痂疹, 尋常性毛瘡), 第II群 (節, 節腫症, よう.急性爪囲炎), 第III群 (伝染性膿痂疹), 第IV群 (丹毒, 蜂巣炎, リンパ管・節炎), 第V群 (皮下膿瘍, 化膿性汗腺炎, 感染性粉瘤), 第VI群 (急性二次感染) と群別し, 16歳以上を対象とした。NY 198, またはNFLXを1回200mg朝, 昼, 夜, 服用とし, 第I~IV群, VI群では7日間, 第V群では10日間服薬とした。
    結果: 解析対象症例は, 有効性につきNY198群132例, NFLX群127例, 安全性につきNY 198群144例, NFLX群135例.有用性につきNY198群134例, NFLX群128例てあった。最終全般改善度での有効率はNY198群79.5%, NFLX群72.496, 概括安全度での安全率 (ほぼ安全以上) はNY198群97.9%, NFLX群96.3%, 副作用発現率はNY198群4.2%, NFLX群3.7%, 臨床検査値異常発現率 (評価対象例数NY198群113例, NFLX群102例) はNYI98群5.3%, NFLX群9.8%, 有用率はNY198群76.1%, NFLX群71.1%であり, いずれも両群間に有意差は認められなかった。疾患別最終全般改善度の有効率は第I群, 第III群でそれぞれNY198群85.7%, 100%.NFLX群64.3%6, 75.0%であったが, いずれも有意差は認められなかった。細菌学的効果での菌消失率はNY198群82.3%, NFLX群64.6%(有意確率0.013), 分離菌別にみると黄色ブドウ球菌 (単独検出症例) で菌消失率はNY198群80.6%, NFLX群608%(有意確率0.062) であった。
    結論: 浅在性化膿性疾患の治療においてNY198はNFLXに比し, やや優れた薬剤であると思われる。
  • 1989 年 37 巻 4 号 p. 504-541
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/04
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