CHEMOTHERAPY
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Fosfomycinのアレルギー誘発能に関する基礎的研究 (2)
竹内 良夫西村 葉子栗山 純一本間 義春横室 公三吉河 達祐田中 幹夫渡辺 日章
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1989 年 37 巻 4 号 p. 426-432

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抄録

Fosfomycin (FOM) が抗原性を発現する場合の機作をFOMの分解物および重合物の形成状態から検討し, 以下の結果をえた。
1) 分解物の形成。FOM水溶液または, 筋肉内注射後に採取した血清中のFOMについてSIMS法, ゲル濾過法で測定した。いずれの方法でもFOM純品, または製剤に比ぺ大きな差はなく, 分解物の形成はほとんど観察されなかったがpolymerは僅かに検出された。
2) 重合物の形成。GRANTらの方法で水溶液の状態で放置されたFOM試料をゲル濾過HPLCを用いて測定したが, polymerの形成は明らかではなかった。
3) 上記実験操作中にFOMの吸着が推測されたので透析効果について検討した結果, PCGに比べ, 透析膜への強い吸着が観察された。
以上の結果から, FOMが抗原化する場合にはFOMが何らかの物質に吸着することによって抗原性を発現し抗体が産生される可能性が推測された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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