CHEMOTHERAPY
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感染性腸炎に対する7432-Sの臨床的研究
7432-S感染性腸炎研究会
斎藤 誠他
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1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 607-618

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抄録

感染性腸炎23例に対する経口用セフェム系抗生物質7432-Sの臨床評価を行うた。同時に糞便中移行の検討 (急性腸炎患者6名) を行った。また, 臨床分離株に対する本剤の抗菌力は後藤らにより測定された。
I 臨床治療: 投与方法は1日400mg分2で5日間 (サルモネラ腸炎には7日間) 経口投与とした。その結果, 有効性検討可能症例は23例中16例 (そのうち細菌性赤痢-以下同じ-5例) であった。そのうち有症状例4例 (2例) の臨床効果 (有効率) は75%(50%) であったが, 投与開始日に排菌のあった15例 (5例) の細菌学的効果 (有効率) は53.3%(60%) であった。これらの臨床効果および細菌単的効策を勘案して評価した16例 (5例) の総合効果 (有効率) は56.3%(60%) であった。副作用検討可能症例は23例中21例であり, 全例に副作用は認められなかった。臨床検査値異常は10例中1例に血清アミラーゼの上昇が認められたが, 膵炎を合併していたため本剤との関係は明らかではなかった。有用性検討可能症例は23例中17例であり, 「満足」以上は9例 (52, 9%), 細菌性赤痢では5例中3例 (60%) であった。
以上より, 感染性腸炎に対する7432-Sの臨床効果は, ニューキノロン系抗菌剤の効果に比べ, 劣る成績であった。
II. 糞便中移行試験: 投与方法は400mg分2で1日経口投与とした。その結果, 初回投与後24時間の排便回数が10回と多かった2名では, 排便回数が4回以下と少なかった4名に比べ, 糞便中濃度は高く, 逆に血清中および尿中濃度は低かった。

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