CHEMOTHERAPY
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Arbekacinの抗菌力におよぼすNaClの影響
田村 淳斉藤 早紀子井田 孝志原 哲郎河原條 勝己藤田 欣一鈴木 隆男井上 松久
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1991 年 39 巻 11 号 p. 1029-1033

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抄録

Bioassay法により, arbekacinおよび他の各種抗菌剤の抗菌力におよぼすNaClの影響を検討した。Arbekacinおよび他のアミノ配糖体薬はmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA) およびmethicillin-resistant S.aureus (MRSA) にかかわらず, 培地に4%NaClを添加した時, 著しく抗菌力が低下した。一方, β-ラクタム系薬は培地に4%NaClを添加した時, MSSA ATCC 25923株では抗菌力の低下はわずかであったが, MRSA M-12株では抗菌力の低下が認められた。さらにM-12株では, fosfomycinの抗菌力の低下も認められた。しかし, vancomycin, minocycline, ofloxacin, ST合剤などの抗菌薬では, MSSA, MRSAにかかわらず4%NaCl添加による抗菌力の変化はほとんど認められなかった。また培地にNaClを1%, 3%, 5%, 7%添加し, それぞれのMIC値におよぼす影響をarbekacin, netilmicinについて検討した。Arbekacinおよびnetilmicinは, S.aureusだけでなくEscherichia coliはじめグラム陰性菌でもNaCl添加で抗菌力が低下した。以上の結果より, NaClの抗菌力におよぼす影響は薬剤の種類により大きく異なり, arbekacinはじめアミノ配糖体薬はNaClにより著しく抗菌力が低下することが明らかとなった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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