CHEMOTHERAPY
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白血球遊走阻止試験による抗結核剤過敏症の検討
宇野 勝次八木 元広関根 理山作 房之輔
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1991 年 39 巻 11 号 p. 1040-1045

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抄録

抗結核剤過敏症疑診患名を対象に, 白血球遊走阻止試験 (LMIT) による原因薬剤の検出同定を試み, 抗結核剤過敏症におけるLMITの有用性, ならびに遅延型過敏反応 (DTH) の関与について検討した。過敏症疑診患者は, 男性11例, 女性6例の計17例で, 全例50歳以上であり, 過敏症状は, 皮膚症状9例, 肝機能障害5例, 発熱5例, 肺臓炎1例, PIE症候群1例, 血小板減少1例 (各症状は重複) であった。LMITは, アガロース平板法の間接法を用い, 各薬剤の抗原濃度はisoniazide (INH) とethambutol (EB) が50μg/ml, rifampicin (RFP) が10μg/mlに調製した。LMITは, 88%の高い陽性率を得, 白血球遊走促進因子 (LMAF) を71%, 白血球遊走阻止因子 (LMIF) を29%検出し, LMIFに比べLMAFを有意 (P<0.01) に高く検出した。各薬剤のLMIT陽性率は, INHが12%, RFPが65%, EBが31%で, RFPが他の2剤に比べて有意に高い陽性率を示した。また, RFPはLMIF6%に対してLMAFを59%検出し, LMAFを有意 (P<0.0005) に高く検出した。以上の結果から, 抗結核剤過敏症の原因薬剤検出にLMITは有用であり, その発現にDTHが主要な役割を演じていると考えられる。また, 抗結核剤の中でRFPが最もアレルギー原性が高く, RFPによるDTHにLMAFの関与が高いことが示された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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