CHEMOTHERAPY
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抗HIV薬zidovudineの体内動態に関する研究
Probenecid併用の影響
上田 泰松本 文夫今井 健郎桜井 磐高橋 孝行森田 雅之斉藤 厚重野 芳輝伊良部 勇栄
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キーワード: 体内動態, probenecid併用
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1991 年 39 巻 11 号 p. 1046-1051

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抄録

Zidovudine (AZT) の体内動態に対するprobenecidの影響をビーグル犬およびHIV-1抗体陽性者で検討したところ, つぎの結果をえた。
1. ビーグル犬ではprebenecidの併用により, Cmax, AUCはAZTにおいて増大し, glucuronide conlugated AZT (GAZT) において減少した。
2. ヒトではprobenecidの併用によりAUCはAZT, GAZTとも増大し, その傾向はGAZTにおいて著しかった。
3. 尿中回収率はprobenecidの併用によりビーグル犬ではAZTは著減, GAZTはやや減少し, ヒトではAZTは微増, GAZTは減少した。
4. ProbenecidはAZTに対して肝でのグルクロン酸抱合を阻害し, AZT特にGAZTの尿細管での分泌を抑制することが示された。
5. ヒトではAZTのHIV-1 replication阻害発現濃度 (0.3~0.5μg/ml) をこえる時間はprobenecidの併用により約2倍に延長した。
以上の成績からAZTの抗HIV効果が有効血中濃度持続時間と関連があるとすれば, probenecidの併用はHIVの増殖阻止効果をさらに向上する可能性を示唆するものであり, また使用量減量による副作用軽減の可能性も示唆された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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