CHEMOTHERAPY
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Cefpiramideの術後創内滲出液中移行に関する臨床的検討
花谷 勇治浅越 辰男高見 博蓮見 直彦根本 明久大塚 美幸四方 淳一
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1991 年 39 巻 11 号 p. 1065-1070

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抄録

術後創内滲出液中へのcefpiramide (CPM) の移行を臨床的に検討した。根治的乳房切断術後の13例の女性を対象に, CPMを1g静注 (n=5), 2g静注 (n=4) および2g60分間点滴静注 (n=4) 投与した。薬剤濃度はアガーウエル法によるbioassayで測定した。滲出液中におけるCPMのピーク濃度および投与後24時間までの濃度曲線下面積は1g静注群13.8μg/ml, 184μg・h/ml, 2g静注群32.0μg/ml, 422μg・h/ml, 2g点滴静注群29.2μg/ml, 363μg・h/mlであった。すなわち, 薬剤投与量と滲出液中濃度との問にはdose responseの関係を認めた。また, 2g静注群の成績と2g点滴静注群の成績には差を認めなかった。滲出液中におけるCPMの時間-濃度曲線はきわめて緩徐な変動を示した。すなわち, ピークに達するまでに5~6時間を要し, ピーク以後の消失半減期は約9時間であった。薬剤投与後24時間の時点においてもピークの30%の濃度を維持していた。2g静注群および2g点滴静注群では12.5μg/ml以上, 1g静注群では6.25μg/ml以上のCPM濃度を18時間にわたって維持していた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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