1991 年 39 巻 11 号 p. 1071-1085
カルバペネム系抗生剤であるimipenem/cilastatin sodium筋注用について尿路感染症に対する有用性を基礎的, 臨床的に検討し以下の結論を得た。
1. 複雑性尿路感染症由来のStaphylococcus aureus, Staphlococcus epidermidis, Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Citrobacter freundii, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Pseudomonas aeruginosaの8菌種に対するimipenemの抗菌力を, piperacillin, cefmetazole, ceftazidime (CAZ), gentamicin, ofloxacinを対照薬として比較した。ImipenemはE.coliに対してCAZと同等であった以外は, 対照薬より優れていた。
2. 複雑性尿路感染症を対象に本剤250mg/250mgまたは500mg/500mgを1日2回, 5日間投与しその有効性と安全性を検討した。UTI薬効評価基準に合致する25例の総合臨床効果は, 著効6例, 有効13例, 無効6例で有効率は76%であった。自他覚的副作用はみられなかったが, 臨床検査値の異常はGOTおよびGPTの上昇が2例に, 好中球の減少およびリンパ球の増加が1例に認められた。
Imipenem/cilastatin sodium筋注用は複雑性尿路感染症の治療に有用かつ安全な薬剤と考えられた。