日本化学療法学会雑誌
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マウスにおける点鼻接種メチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA) の盲腸への移行・増殖におよぼす諸因子の影響
久田 正純真辺 忠夫加藤 直子小此木 研二
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1995 年 43 巻 2 号 p. 193-199

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抄録

106CFUのメチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA) N 133をマウス鼻腔内に接種すると, 接種3時間後には盲腸内から約105CFU検出され, その菌数は1日後に103CFU, 3日後に102CFUと減少したが, 5日後には再び103CFU近くまで増加し10日後もほぼ同数が維持された。接種前日から10mg/kgのampicillinを1日2回4日間皮下投与するとMRSAの盲腸内増殖力宝やや促進された。このMRSAの盲腸内移行増殖はcefotiamでやや抑制され, cefozopranで完全に阻止された。ストレスを加えるために接種直後に開腹手術を行うか, 免疫能を低下させるために接種前に200mg/kgのcyclophosphamideまたはdexamethasoneを投与しておくと, 盲腸内でのMRSAの増殖が促進された。一方, 接種前にEntemocous faecoumを経口投与しておくと開腹手術等のストレスによるMRSAの盲腸内異常増殖が抑制された。以上の結果から, 抗生物質が必ずしもMRSAの盲腸内での増殖を促進するわけではなく, むしろ免疫低下や手術によるストレスの影響の方が大きいことが示唆された。

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