日本化学療法学会雑誌
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臨床材料から分離した肺炎球菌 (Streptococcus pneumoniae) に対する経口β-ラクタム系薬の抗菌力について
小栗 豊子三澤 成毅猪狩 淳
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1995 年 43 巻 5 号 p. 531-538

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抄録

1992年, 1993年の2年間に, 各種臨床材料より分離した肺炎球菌301株を用いて, 経口セフェム系薬を主とする11種の経口抗菌薬の抗菌力を, 微量液体希釈法により測定した。使用薬剤はbenzylpenicillin (PCG), ampicillin (ABPC), cefaclor (CCL), cefixime (CFIX), cefotiam (CTM), cefdinir (CFDN), cefpodoxime (CPDX), cefditoren (CDTR), cefcamate (CCMT), erythromycin (EM), onoxacin (OFLX) である。感性, 耐性のブレイクポイントはNCCLSのものを用いた。301株中, 8株 (2.7%) はペニシリン耐性株 (PCGのMIC:≧2μg/ml), 83株 (27.6%) は中等度耐性株 (PCGのMIC: 0.125~1μg/ml), 210株は感性株 (PCGのMIC:≦0.063μg/ml) であった。ペニシリン感性株と耐性株 (中等度耐性株を含む) のMIC90 (単位はμg/ml) はPCG (≦0.063, 1), ABPC (≦0.063, 2), CCL (1,128), CFIX (2, 16), CTM (0.125, 2), CFDN (0.25, 4), CPDX (0.125, 2), CDTR (0.125, 0.5), CCMT (0.125, 0.5), EM (>128,>128), OFLX (2, 2) であった。経口セフェム系薬7剤ではCCMT, CDTRの抗菌力がもっとも優れていた (MICは≦4μg/ml)。CCLにおいては301株中80.7%が感性 (MIC:≦8μg/ml), 2%が中等度耐性 (MIC: 16μg/ml), 17.3%が耐性 (≧32μg/ml) と判定された。ペニシリン耐性株は他の経口セフェム系薬にも耐性傾向を示したが, 中等度耐性株は40%なしいそれ以上が経口セフェム系薬に感性であると考えられた。EM耐性株 (≧1μg/ml) はペニシリン感性株で33%, ペニシリン耐性株 (中等度耐性株を含む) で67%に認められた。OFLX耐性株 (MICは≧4μg/ml) はペニシリン感性株で6%, 耐性株 (中等度耐性株を含む) で9%に認められた。すべての分離株 (301株) の血清型は23種の型に分布しており, 19群, 23群, 6群, 14型はペニシリン耐性株 (中等度耐性株を含む) が多く認められた。

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