日本化学療法学会雑誌
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新規合成抗菌薬pazufloxacinの細菌学的評価
村谷 哲郎三橋 進井上 松久
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キーワード: PZFX, キノロン, 抗菌力
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 1-11

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抄録

Pazufloxacin (PZFX) は新しいキノロン系合成抗菌薬である。PZFXのin vitro抗菌力および作用機作を, ofioxacin (OFLX), norfloxacin (NFLX), ciprofloxacin (CPFX) およびlevofloxacin (LVFX) のそれと比較検討した。
PZFXのmethicillin-susceptible Staphylococcus aureusおよびmethicillin-resistant S.aunusに対するMIC90はそれぞれ0.39および12.5μg/mlであり, 他の薬剤より優れた活性を示した。CPFX耐性 (MIC of CPFX,≧3.13μg/ml) S.aureusのうち45%はPZFXに感受性 (MIC of PZFX, ≦0.39μg/ml) であった。Serratia marcescensを除くEnterobacteriaceaeに対するPZFXのMIC90は0.024~0.39μg/ml, S.marcescensおよびPseudomonas aeruginosaに対するMIC90はそれぞれ6.25および3.13μg/mlであり, これらの値はCPFXとほぼ同等, 他の薬剤より優れていた。PZFXの嫌気性菌に対する抗菌力は, CPFXおよびLVFXとほぼ同等であり, OFLX, NFLXより優れていた。S.aureus, Escherichia coliおよびP.aernginosaに対するPZFXのMBC/MICは2倍以下であったことから本剤の作用は殺菌的であると推定された。また, PZFXの4MICにおけるS.aureus, E.coli, S.marcescensおよびP.aeruginosaに対する自然耐性菌選択頻度は2.3×10-8~<1.2×10-9であり, 他のキノロン薬と同様低かった。PZFXのS.aureus, E.coli, P.aeruginosa由来のDNA gyraseのスーパーコイリング活性に対する50%阻害濃度はそれぞれ32, 0.88および14μg/mlであり, 他のキノロン薬と同様強い阻害活性を示した。以上の結果より, PZFXは幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌力を有し, その作用は殺菌的であり, 作用機作はDNA gyrase阻害にあると考えられた。

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