日本化学療法学会雑誌
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Pazufloxacinのヒト細胞内移行性と細胞内感染菌に対する殺菌効果
三上 秀忠恒田 礼子堀 富美子南 新三郎保田 隆渡辺 泰雄成田 弘和
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 120-125

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抄録
Pazufloxacin (PZFX) の細胞内移行性についてヒト好中球およびヒト由来培養細胞 (ヒト胎児小腸細胞Intestine 407, ヒト胎児肺正常2倍体細胞MRG5およびヒト成人肝細胞Chang Liver) で検討し, ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), tosufloxacin (TFLX) と比較した。さらに, 細胞内に感染させたPseudomonas aernginosa S-1299およびSalmonella enteritiais C-32に対するPZFXの細胞内殺菌効果も併せて検討した。
PZFXの細胞外液濃度に対する細胞内濃度比 (C/E ratio) は, ヒト好中球ではOFLXとほぼ同程度であったが, CPFXやTFLXより低かった。また, ヒト由来培養細胞においてもPZFXは他剤より低値を示した。
ヒト好中球に貪食されたP.aeruginosaに対するPZFXの細胞内殺菌効果はOFLXより若干優れ, CPFX, TFLXと同程度であった。またIntestine 407細胞に感染したS. enteritidisに対し, PZFXはTFLXより劣るものの, OFLX, CPFXと同等の殺菌効果を示した。
以上, PZFXは他のキノロン薬に比べ細胞内移行性は若干劣るものの, 細胞内細菌に対しては他のキノロン薬と同程度の殺菌効果を示した。
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